8月6日・7日に新宿京王プラザホテルで行われた日本美容皮膚科学会に参加してきました。
皮膚科の学会では、一番大きな美容関係の学会で、皮膚科医中心に美容皮膚科の診断・治療を学んでいます。
今回の学会では、下記の項目を新しく学びました。
このブログをご覧になっている患者さん方には意味不明な内容かと存じますが、普段こういうことに興味をもって勉強しています。
1.Qスイッチレーザーを母斑細胞に照射しても、癌が誘導されるリスクは極めて低い。
2.ニキビ患者の3分の1は1回しか来ていない(あるクリニックの例)。
3.ベピオゲルは最初点で塗り始め、その後面で塗っていく。接触皮膚炎が出る可能性があるため。
4.ゼビアックスクリームは炎症性皮疹でアクアチムクリームと同等の力をもつ。
5.眉間のしわの1型は皺眉筋内側が強く、そこにしっかりボトックスを注射する。11型は外側。スクランチ型は額にも注射する。
6.スレッドリフト+幹細胞培養上清は、スレッドリフト単独よりコラーゲン増生効果が出うる。
7.日光角化症にケミカルピーリングはよくない。数%に扁平上皮癌が生じるので。
8.テストステロンは脂溶性のため、毛乳頭細胞の細胞膜を通過しやすい。
9.連続投与の場合、フィナステリドの半減期は4時間だが、デュタステリドの半減期は3~4週間と長い。
10.Nocebo現象のため、AGA治療内服薬投与前に性機能低下の副作用説明をしっかりした群では、しない群より投与後にその訴えが多い。
11.塩化アルミニウムは、角層内汗管にふたをする。
12.腋窩多汗症ボトックス注射の保険診療で行う際、皮内投与の手技料がある。
13.ジェルナイルでは、UVでジェルを重合し、光硬化させ、分子量を大きくしている。光硬化前後で、その物質による接触皮膚炎が減ることがある。
14.金の糸を入れている患者にヒアルロン酸を注入すると、その糸が入っていない患者より異物肉芽種を起こすリスクが高い。
15.金製剤(シオゾール等)内服中の患者は、レーザーによる熱エネルギーが皮膚内の薬剤と反応し、タトゥーになる可能性がある。
16.表剤型の肝斑にケミカルピーリングは有効なことあり。ガイドライン上推奨度C2だが。
17.ニキビ痕の陥凹は、炎症後の線維と周りの正常組織との不均一により起こる。
18.ニキビ痕の陥凹をデルマパンチでくり抜く治療法や、特殊なニードルで陥凹の下の線維を切る方法がある。
19.ビタミンAの類の外用は、AP-1を阻害し、ニキビ瘢痕を抑制・予防する。
20.法令線は谷ではなく、崖のイメージなので、陥凹の直下ではなく、やや内側に注入する。ヒアルロン酸が外側に動くと、法令線が逆に目立つことになるので。
21.ヒアルロン酸投与によるjawlineの補正は、骨に当てて注入する。
22.眼輪筋外側部のしわは、小頬骨筋など他の筋の影響を受けやすい。
23.抗生物質がベピオゲルより耐性菌ができやすいのは、抗生物質がベピオと違い細菌の一部位だけを突破口にするものが多いため。
24.アダパレンが表皮全層に作用するのと違い、ベピオゲルのマイルドピーリング効果は角層に作用している。
25.ベピオで白斑の報告は聞いたことがない。
26.ルビーレーザーはヘモグロビンに低吸収であり、メラニン吸収のみに最も有効。
27.異所性蒙古斑のレーザー照射時に被髪部はうたない。脱毛起きる可能性はかなり低いが。
28.辺縁ギザギザの扁平母斑は辺縁境界明瞭のものよりレーザーが効きやすい。
29.手足の単純性血管腫はとれにくい。サーモンパッチ(額)は自然になくならないことあり。
30.ヒアルロン酸注入の塞栓による失明の一つの機序は、注入時の強い圧で動脈血の向きにヒアルが逆行し、太い血管の枝分かれ前に行ったヒアルが、動脈血に順行して眼球に行く血管にのったために起こる。
31.ゴルゴラインの靭帯は、骨が減って奥に引き込まれるので、ゴルゴにヒアルを注入して消えないからといって注入しすぎると、ヒアルが窪み直下に入らず、逆にゴルゴラインが目立つことがある。
32.爪白癬のロングパルスNdYAGレーザー治療の機序は、白癬筋が熱に弱い、レーザーの熱による血流改善などが機序の候補として考えられる。
学会は学んで満足するだけでなく、それをいかにアウトプットできるかが大事なので、一つでも二つでも実際の診療で最新の知識を生かしたいと思います。
実践できなければただの「勉強家」で終わってしまいますから。
300学んで実践が0より、3学んで1つでも実践できる方がよいですね。
今日も一日頑張ります。