先日品川イーストワンタワーで行われた日韓美容医師会という勉強会に参加してきました。
イーストワン皮膚科形成外科の入っているビルの別の階に行くのはなんだか妙な気持ちがしました。
今まで韓国の先生がぽつりぽつり他の学会でお話しするのは聞いたことがあるのですが、今回は多くの韓国Drがまとまって来日されお話をされました。
韓国は言わずと知れた美容大国ですが、そのトップドクターたちの話を直に聞くと、日本がアジアの中の国の一つであることをあらためて強く意識させられます。
意外だったのは、韓国では日本のようなナチュラル変化嗜好の患者さんが割と多いということです。韓国の皆さんは明らかな変化を強く望むと僕自身は思っていました。
韓国の美容Drに対するイメージですが、僕は今まで何となく「美人作り業」というイメージをもっていました。
今回の勉強会が、手術関係より医療材・機器の発表が多かったのもナチュラル変化嗜好の潮流の一つなのかもしれません。
韓国のDrはプレゼンテーション能力が高く、英語も苦にしない印象です。日本と比べはるかに外向きな気がします。
選ばれたDrたちの個性なのかもしれませんが、とても熱心で真面目な先生方というよい印象を受けました。
何かを伝えようという意気込みがひしひしと伝わりました。
韓国Drの発表は日本語で同時通訳されたので、外国語が苦手な自分はとても助かりました。
また、司会を行っていた韓国Drは笑顔と朗らかなやりとりで演者と聴衆をリラックスさせ、「アウェイ」の地で「おもてなし」精神を感じさせる素晴らしい進行でした。
今回の学会で僕が学んだことは下記の12点です。
1.肌の老化の一番の要因は線維芽細胞の機能低下であり、リジュラン(rejuran)注射は真皮再生を手助けする。自己細胞活性化フィラーである。リジュランはサケのDNAより抽出されたポリヌクレオチドであり、皮膚の自己回復力を活性化する。魚・魚卵アレルギーの人にはうてない。真皮と表皮の厚み・全体的な皮膚のハリを改善する。また、粘度が低く目周りにうちやすいリジュランi、瘢痕・ニキビ痕にうつリジュランsという製品もある。
2.非架橋ヒアルロン酸をリジュランと混ぜて使うことで皮膚がよりふっくらしやすい。
3.首のしわ、目の下のくぼみには解ける細い糸を入れて、その穴からリジュランを注射するのもよい。
4.肝斑・赤み・色素沈着・毛穴の開き・美白にsylfirmというニードルRF機器が出てきた。シルファムは異常な小血管と基底膜だけに反応する。VEGF(血管内皮細胞増殖因子)の過産生を正常化し、基底膜の再構築、真皮の若返りを行う。
5.シルエットソフトリフトは、顔に挿入した後、一旦ゆるんで、挿入2~3ヶ月後にまた顔がしまっていく。頬挿入も大事だが、顎下のシルエットソフトリフトはかなり大事。
6.選べるなら、先にスレッドリフトを顔に行ってからヒアルロン酸・ボトックスの注入を行った方が、法令線やたるみへの全体的構築がしやすい。
7.PDO糸はPLA糸より柔らかくしなり、棘のバナナピール現象も起きにくいが、溶け出しは早い。だからどちらの糸も一長一短である。
8.唇輪郭のヒアルロン酸注入時には、唇輪郭を鑷子で皮膚境界と平行につまんで注入すると輪郭がはっきりしやすい。
9.PDOは、細胞の再生が他の糸と比べ盛んであるという論文がある。
10.鼻背にn-cogを5本挿入した後、鼻背にヒアルロン酸を注入すると形を作りやすい。
11.鼻中隔下端部に横からn-cog spiralを通すことで、鼻尖の高さを上げることができる。
12.頬のスレッドリフトのときに、スレッド周囲にPRPをまく方法がある。
学会を手配した池田Drはじめ当グループの担当事務スタッフ・医療スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。異国との打ち合わせはさぞかし大変だったことと思います。
僕にとってはいつか韓国に行ってみたいと強く感じた日韓美容医師会勉強会でした。
(僕が実家に帰るのと韓国に行くのと、時間的には実はそんなに変わらないのかもしれませんが。下記の写真は今日たまたま目の前を歩いた韓国大使館です。)