先日東京西新宿の京王プラザホテルで行われました日本皮膚科学会東京支部学術大会に行ってきました。
例年この学会は2月に行われることが多いのですが、今年度は秋に催されました。
日本皮膚科学会が主催する学術大会は、地方会、支部学術大会、総会と三段階あるのですが、例えるなら、高校野球の県大会、関東大会、甲子園(全国大会)みたいなイメージです。
ですから、今回は関東大会(首都圏ブロックの学術大会)でした。
以下の文章では、いわゆる「医者の学会」というものがどういうものなのか説明したいと思います。
発表が行われる学術大会のことも医者はよく「学会」と言うのですが、「学会」という言葉には二つの意味があり、一つは任意に医者が加盟する団体名(言わば相撲協会みたいなもの。伝統・格式・規律を重んじる保守的な団体が多いです。)、もう一つは医者が他の医者向けに治療法・診断法・その他医者の知識のブラッシュアップ・新知見に役立つ情報 を発表する学術大会(言わば発表会)があります。
そして、団体がその発表会を主催します。今回は公益法人日本皮膚科学会という団体が、第81回東京支部学術大会という発表会を主催したわけです。
ちなみに、大きな学術大会になると、専門の学会運営会社が通常は運営を委託されます。
数千人規模が参加する一種のフェスティバルなので、行われる会場もだいたい限られます(大箱限定なので)。
皮膚科の学術大会の特徴は、女性のドクターの割合が高く華やかなことです。ほぼ100%男だらけの診療科もあります。
また、学会に参加すると他にも色々なことで自分の知識を増やすことができます。
下記の写真はプログラムの一部で、2日間中の2日目の内容になります。これを見ながらどの部屋のセミナーを聞くか考えます。
発表する先生方は他薦と自薦があり、他薦の先生方(一部海外の先生)の発表がほとんどなのですが、通常そういうその道のオーソリティーの先生方はプレゼンテーションにも慣れており、話はとても聞きやすいです。
言わば学習塾や予備校などの詰めこぎ講義みたいなものと言えるかもしれませんが、話される内容がその分野の最先端の内容なので聞いているだけでとても効率のよい学習ができます。
医者達が学会に行く目的のほとんどはこれです。
iPhoneをWi-Fiにつないで部屋の隅に置いておいて新しいバージョンに勝手に更新してもらうような感じです。
また、自薦の先生方の発表は通常内容を書いた大きな紙が決まった部屋の壁に貼られ、見たい医者たちに勝手に閲覧されます。
小学校時代の壁新聞みたいな感じです。夏休み自由研究の内容の貼り付けにも近いです。
その他、医療機器・製薬会社などの新しい機械や薬の紹介の展示ブースなどもあります。
大学や高校の新入生が入学式を終え、先輩から部活の勧誘を受けるように各会社の方から声をかけられます。
商品パンフレット、筆記用具、お試しグッズなどをときどきもらうので、手には部活勧誘のチラシのように紙類がたまります。
また、最近は手取足取りでその道の有名な先生が基本技術を教えるハンズオンセミナーも増えてきています。詰めこみ教育からの脱却でしょうか。
医学書の販売も随所で行われており、本屋さんで見たことがないような本もなぜかたくさん売られています。
出会ったときの一時の昂揚感でたくさん買い過ぎないよう毎回気をつけています。一般的な男女の出会いと同じで、出会ったときは何故か数段魅力的に見えるからです。
今回の学術大会のような大きな会になると、昔お世話になった諸先生方に会うこともあり、自分の兄貴分的な先生と懐かしい話をすることもできました。
そういう時はだいたい、「おうっ、せーんせー、久しぶりー、最近どーよ( ͡° ͜ʖ ͡°)」と声をかけられ会話がスタートします。
そういう先生に再会するとあっという間に10年前の自分に戻ります。この関係は自分が80代のおじいさんになっても続くのでしょうか。
仕事に役立つアカデミックな情報も興味だけでなく、人間関係の情報?も何となく入ってきます。特にゴシップ好きというわけではありませんが。
学術大会に行くといつも思うのは、聞きたいセミナー(だいたい一つ60~90分)が同時間帯でかぶってしまい、どちらを聞きにいくか心が葛藤してしまう問題があります。
究極の選択をしないといけないのです。
トレードオフの状態ですね。
でもときどき聞いていて自分に合わない(演者の先生ごめんなさい)と、立ち上がってすぐに他の会場に移動することもあります。
映画館でも立ち上がって出ることはありますが。
しかし最近は主要なセミナーの一部が学術大会後に一定期間インターネット上で見れるようになり、もやもやも少なくなりつつあります。
このインターネット視聴は、遠くにお住まいの先生や、仕事でどうしても当日会場に来れない先生方に嬉しいことではないでしょうか。
僕は昭和の男なので、Web視聴よりも会場へ行った方が誘惑なく確実に話を聞くので、やはり学会会場で実際に話を聞くのが好きです。
さて、現在様々な学術大会があり、ときどき参加するのですが、受験生と同じでやはりアウトプットを意識しながら聞かないといけないなとつくづく感じています。
聞くだけで終わり、かつての優等生心理、知識欲、探求心、好奇心、冒険心が満たされるだけ、というのはやはりいけませんから。
今後お会いする方々のために、よい知識と技術を与えられるようさらに努めたいと思います。学術大会で聞いた内容を皆様に還元できる自分を目指します。
話は変わりますが、下記の写真を京王プラザホテル内で撮りました。早くもクリスマスムードですね。スタートが早いと中年の僕はクリスマスまでに息切れしてしまいそうです。。。でもなんとか頑張ります。
下記の写真は銀座院の診察室裏にあるバックヤードからの眺めです。
銀座のような都心でも紅葉が綺麗ですね。心が洗われます。この美しい景色を見ながら、看護師さん・他のスタッフにくだらない話をしないよう気をつけたいと思います。