お問い合わせ: (03) 5479-3388
田町駅徒歩5分の皮膚科・形成外科・美容外科 芝浦B.クリニック Web Site

東京皮膚科・形成外科 入谷 英里ブログ

Month: 9月 2024

美容はファッションじゃない!

日本美容外科学会2024、終わりました、、、!

今回は2演題、発表がありました。美容皮膚科学会が終わったばかりだったけど、、、!やるしかない。笑

今回の発表を助けてくださった岡田先生、池田先生、スタッフの皆様はじめ、無理言ってご協力いただいた放射線科の先生、データを提供していただいた患者様、たくさんの方に支えていただき、無事に終わりました、、、涙!

この場を借りて陳謝いたします。

今回、他院でのフィラー後の血管塞栓をテーマに発表しました。

発表内容から抜粋します。

IMG_7825

なにごとにも絶対大丈夫、なんてことはないので、トラブル発生時こそ、どうやって対処、対応してゆくのか医師としての経験や倫理観が試されていると思ってます。

そんなときにどうやって患者さんとの信頼関係を築いたらよいのか?という話は、長年、スタッフとも同僚のドクターたちともあーでもないこーでもないと話してきてました。

(スライドの二次利用はご遠慮ください。違法行為にあたります。)

なかでもこちらの症例は、いまの美容医療の問題点が満載!

非常に考えさせられました。

IMG_7830

無料通話アプリの激安ヒアルロン酸キャンペーンの広告につられて、某美容外科を受診。

カウンセラーさんに連れられ、個室で軟禁状態でクロージングがはじまる。

「脱毛のクールを組んだら、ヒアルロン酸が無料でついてくる!」とおすすめされ、契約。

ヒアルロン酸を注入され、直後は施術中はこれといったことはなく、内出血がでた程度のようでした。

しかし、帰宅後から複視、気分不快、閃輝暗点(目がチカチカする)などの症状がでてきます。

次の日には右頬の皮膚は変色、複視も以前続きます。

某美容外科を受診しても、

「自分たちの施術とは無関係だ!」と断言されます。

強い不信感を抱くことになります。

紹介状なども作成なく、提携する病院もなかったそうです。

眼科を受診しようにも、検索してでてくる自費の視力矯正などのクリニックばかりで、なかなか、目的とする眼科に受診できません。

視野検査では右下斜筋の異常を認めます。

ご自身で探して受診した大学病院形成外科でも、自費の他院トラブルなので受け入れてもらえず。

ここで 患者さん、激怒!

そりゃトラブルにもなりますよ。

結局、某美容外科側も歩み寄り、施術後三日目にやっとヒアルロニダーゼを注射し、画像検査へ。

このあとは徐々に潰瘍となった皮膚部分は上皮化していきます。

某美容外科より、塗り薬などの処方もなかったのでご自身で購入して塗っていたそうです。

もちろん脱毛のクールは解約してくれたそうです。笑

(※いままでブログにスライド画像を掲載しておりましたが、原稿執筆依頼がありましたので、

いろいろな事情で現在、ブログ上には掲載しておりません。

貴重な症例画像だったので、皆様にも共有していただきたい気持ちもありましたが、雑誌掲載された折には報告いたします。)

記事の続きを読む

遠方からの患者さん、注意してください。

今年の夏は、実母の弁膜症のオペがあったりしまして、医療機関、先生方、家族、、、いろいろな方に大変お世話になりました。

患者様には急な勤務変更でご迷惑をおかけしました。

そんなわけでわたしの夏は怒涛のスピードで過ぎ去り、残すはスライド作成のみ!、、、という時期に、やつはやってきましたよ。

伝説の迷走台風10号。

新幹線が運休したため、会場にはいけない。

(これで欠席だから、スライド作りはしなくていーんだ!と小躍りしたのは秘密です)

となると、学会側もぬかりなく、ビデオ発表なる手段を講じてくれまして。

はじめて、ビデオ録画を作成することに!

なにがすごいって、発表時間の二時間前に所定のサイトにアップロードできれば良いのです。

つまりは期限ギリギリまで調整できる、、、!これは、なんらかのトラブルで現地入りできなかった時などに普段から利用できると助かるシステム〜!

(さすがにシンポジウムはzoomをつかったオンライン形式だったようです。)

 

今回、発表した内容をかいつまんで。

マー◯ィーの法則ではありませんが、我々が診療してきて、「なぜに、この方に限って、起きてほしくない事象がおきるのだ!?」という

望ましくない結果が起きてしまうことがあります。

なにか共通項があるかな?

こういう患者さんには気を引き締めて注意しないといけないよね、というポイントってきっとあるんだろうな!?

、、、と 長年考えていまして。

そのなかで、当然といえば、当然なのですが、、、

遠方の患者さんには特に注意して診療にあたろう!!

と 思い、今回発表しました。

【気圧の変化に要注意!】

phonto

私たち人類は、だいたい平地の1気圧で生活しています。

飛行機も、機内の気圧を1気圧になるように、工夫されているのですが、、、だいたい10000メートルくらいの高さを飛んでいるとき、機内は0.8気圧くらいにやや低下しているんです。

健康なかただと、0.8気圧くらいの環境なら、代償機能が働くので、なんら変わらず過ごせていますが、、、結構、身体には負担がかかっているんです。

この0.8気圧って、だいたい標高2000メートルくらいの山にいるのときくらいらしいです!

で、気圧が下がると、人間、あちこちに負担がかかり、血中の酸素濃度も低くなり、、、

いろいろな病気を引き起こしやすくなります。

そのため、心血管系のトラブル発生率、耳鳴り、気分不快、めまい、などなど、、、平地より機内で起きやすいです!

(長時間座位のときには、エコノミークラス症候群なども引き起こされますね)

海外旅行客が日本で美容医療を受けて、帰国する、または、逆に、国内なかたが海外で美容医療を受けて、日本に帰国する、

こういった患者様を診るときには、この気圧変化に伴う負担に注意しなければなりません!

ちなみに、国内移動のかたなら大丈夫か、というと、そこも要注意!

実は調べてみて知ったのですが、

新幹線移動にも気圧変化があるのです!

もちろん飛行機ほどではありませんが、トンネルに入るときや、新幹線同士がすれ違うときに、気圧の変化は起きるのです。

海外旅行客のかた、、、飛行機から降りて、さっそく、京都やら日光やらあちこち移動するぞ!ってかなり過密なスケジュール組んでる方いますよね?!

また、全国あちこち移動してイベントに参加したりするような仕事のかたなども同じく注意が必要です。

記事の続きを読む

切開ハムラ法②適応を選ぶ重要性

やっと長ーい夏休みがおわり、、9月に入りましたねー!

台風10号の行方には日本全国、惑わされっぱなしでしたね。

かくいうわたしも、、、

旅行にいけないか?

いけるけど帰ってこられないか?

それより美容皮膚科学会(名古屋)どうなるの?!

と ドキドキヒヤヒヤの連続でした、、、。

結局、旅行に影響なくすごせて、学会は参加できませんでしたが、ビデオ発表なる手法で発表でしたので ほっと一息ついてるとこです。

キッズも小学校がはじまったので、夏休みパーリィタイムだった日々からリズムを はやく戻していきたいとこです。

phonto

さて、こちらの症例のようにげっそり顔の方

(negative vector orbit)の切開ハムラ法、術中にどうなっていたかみてみましょう!

 

※血が苦手な方は ここでお戻り下さい。


局所麻酔下に睫毛下のラインで皮膚切開をし、皮下(眼輪筋上)で剥離をしていきます。

この剥離操作、当院では極力、出血しない機械を使いますので、この剥離作業が非常にストレス少なく行えます。

眼窩隔膜まで同定できたら、必要なぶんだけ眼窩脂肪を摘除します。

IMG_6333

術前の予想通り、こちらの患者様、眼窩脂肪はあまり多くはないのです。

(眼窩脂肪が多いかたはここで、しっかり摘除します。)

そうして、残された眼窩脂肪を下方へとひきだします。

IMG_6334

目の下の黒い影、凹みをつくる原因となる靭帯を剥離し、ひきだした眼窩脂肪を骨膜上に固定します。

このひっぱりかたが強すぎると、術後に違和感を感じるそうで、よい具合に調整しています。

(このあとバランスをみて、必要あれば眼輪筋を重ねて縫縮して涙袋を形成することもあります。)

眼輪筋皮弁を作成し、外眼角の靭帯に固定して、外反を防ぎます。

あとはいつも通り、皮膚縫合をします。

では、術後の経過をみてみましょう!

記事の続きを読む