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東京皮膚科・形成外科 入谷 英里ブログ

遠方からの患者さん、注意してください。

今年の夏は、実母の弁膜症のオペがあったりしまして、医療機関、先生方、家族、、、いろいろな方に大変お世話になりました。

患者様には急な勤務変更でご迷惑をおかけしました。

そんなわけでわたしの夏は怒涛のスピードで過ぎ去り、残すはスライド作成のみ!、、、という時期に、やつはやってきましたよ。

伝説の迷走台風10号。

新幹線が運休したため、会場にはいけない。

(これで欠席だから、スライド作りはしなくていーんだ!と小躍りしたのは秘密です)

となると、学会側もぬかりなく、ビデオ発表なる手段を講じてくれまして。

はじめて、ビデオ録画を作成することに!

なにがすごいって、発表時間の二時間前に所定のサイトにアップロードできれば良いのです。

つまりは期限ギリギリまで調整できる、、、!これは、なんらかのトラブルで現地入りできなかった時などに普段から利用できると助かるシステム〜!

(さすがにシンポジウムはzoomをつかったオンライン形式だったようです。)

 

今回、発表した内容をかいつまんで。

マー◯ィーの法則ではありませんが、我々が診療してきて、「なぜに、この方に限って、起きてほしくない事象がおきるのだ!?」という

望ましくない結果が起きてしまうことがあります。

なにか共通項があるかな?

こういう患者さんには気を引き締めて注意しないといけないよね、というポイントってきっとあるんだろうな!?

、、、と 長年考えていまして。

そのなかで、当然といえば、当然なのですが、、、

遠方の患者さんには特に注意して診療にあたろう!!

と 思い、今回発表しました。

【気圧の変化に要注意!】

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私たち人類は、だいたい平地の1気圧で生活しています。

飛行機も、機内の気圧を1気圧になるように、工夫されているのですが、、、だいたい10000メートルくらいの高さを飛んでいるとき、機内は0.8気圧くらいにやや低下しているんです。

健康なかただと、0.8気圧くらいの環境なら、代償機能が働くので、なんら変わらず過ごせていますが、、、結構、身体には負担がかかっているんです。

この0.8気圧って、だいたい標高2000メートルくらいの山にいるのときくらいらしいです!

で、気圧が下がると、人間、あちこちに負担がかかり、血中の酸素濃度も低くなり、、、

いろいろな病気を引き起こしやすくなります。

そのため、心血管系のトラブル発生率、耳鳴り、気分不快、めまい、などなど、、、平地より機内で起きやすいです!

(長時間座位のときには、エコノミークラス症候群なども引き起こされますね)

海外旅行客が日本で美容医療を受けて、帰国する、または、逆に、国内なかたが海外で美容医療を受けて、日本に帰国する、

こういった患者様を診るときには、この気圧変化に伴う負担に注意しなければなりません!

ちなみに、国内移動のかたなら大丈夫か、というと、そこも要注意!

実は調べてみて知ったのですが、

新幹線移動にも気圧変化があるのです!

もちろん飛行機ほどではありませんが、トンネルに入るときや、新幹線同士がすれ違うときに、気圧の変化は起きるのです。

海外旅行客のかた、、、飛行機から降りて、さっそく、京都やら日光やらあちこち移動するぞ!ってかなり過密なスケジュール組んでる方いますよね?!

また、全国あちこち移動してイベントに参加したりするような仕事のかたなども同じく注意が必要です。

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切開ハムラ法②適応を選ぶ重要性

やっと長ーい夏休みがおわり、、9月に入りましたねー!

台風10号の行方には日本全国、惑わされっぱなしでしたね。

かくいうわたしも、、、

旅行にいけないか?

いけるけど帰ってこられないか?

それより美容皮膚科学会(名古屋)どうなるの?!

と ドキドキヒヤヒヤの連続でした、、、。

結局、旅行に影響なくすごせて、学会は参加できませんでしたが、ビデオ発表なる手法で発表でしたので ほっと一息ついてるとこです。

キッズも小学校がはじまったので、夏休みパーリィタイムだった日々からリズムを はやく戻していきたいとこです。

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さて、こちらの症例のようにげっそり顔の方

(negative vector orbit)の切開ハムラ法、術中にどうなっていたかみてみましょう!

 

※血が苦手な方は ここでお戻り下さい。


局所麻酔下に睫毛下のラインで皮膚切開をし、皮下(眼輪筋上)で剥離をしていきます。

この剥離操作、当院では極力、出血しない機械を使いますので、この剥離作業が非常にストレス少なく行えます。

眼窩隔膜まで同定できたら、必要なぶんだけ眼窩脂肪を摘除します。

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術前の予想通り、こちらの患者様、眼窩脂肪はあまり多くはないのです。

(眼窩脂肪が多いかたはここで、しっかり摘除します。)

そうして、残された眼窩脂肪を下方へとひきだします。

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目の下の黒い影、凹みをつくる原因となる靭帯を剥離し、ひきだした眼窩脂肪を骨膜上に固定します。

このひっぱりかたが強すぎると、術後に違和感を感じるそうで、よい具合に調整しています。

(このあとバランスをみて、必要あれば眼輪筋を重ねて縫縮して涙袋を形成することもあります。)

眼輪筋皮弁を作成し、外眼角の靭帯に固定して、外反を防ぎます。

あとはいつも通り、皮膚縫合をします。

では、術後の経過をみてみましょう!

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切開ハムラ法①術後2ヶ月の症例写真

なかなか撮影条件を合わせるのが難しくて(汗)やっとある程度、正確な写真が撮影できたのでアップできました、、、!

40代、男性。目の下のぷっくりした盛り上がりが目立つかたです。

これだけみると、さぞかし眼窩脂肪は多いのではないかと思われますが、、、実はそうではないんです!

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斜位でみてみると、

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↑マーキングされているエリアを触ると、脂肪組織はほぼなくて、すぐに上顎骨や頬骨が触知できます。

お顔にお肉がなくて、ゲソっとしたタイプであることがわかります。

眼球も突出してみえるタイプで、日本人に多いnegative vector orbitとよばれる構造をしています。ハムラ法の最も良い適応となる患者様です。

また、顔面骨の上1/3と比べると、頬骨はやや小さいのかな?といった印象のかたです。(レントゲンを撮影しているわけではないのですが。)

目の下が突出してみえるbaggy eye。

こちらは、膨らみをつくる成分と、凹み、陥凹をつくる成分とのバランスが崩れているために起こります。

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膨らみをつくる成分には、眼窩脂肪と眼窩隔膜、眼輪筋、皮膚などがあります。

加齢による目の下のたるみはこの眼輪筋や眼窩隔膜がゆるんできていたり、皮膚ものびてきたり、、、といった老化現象のひとつです。

また、凹みをつくる成分とは、靭帯が骨膜にべたっとついている部分になります。

これは内側の溝ははtear trough,中央から外側にある溝はpalpebromalar grooveとよばれます。

大抵連続した半円形の凹みとして見えます。

そうして、今回の患者様のように、ゲソっとした構造のかたは、眼窩脂肪は多いわけではなくても、目の下の突出が顕著にみえてしまうのです!!

術中の細かい操作に関しては、次回のブログに書きますが、、、

ひとまず、術前と術後2か月の経過をみてみましょう!

正面像です。

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上方視です。

(正確な写真がなくて、こちらは術後1か月との比較です。)

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斜位です。

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良い経過ですね!

かなり脂肪をとったのでは?と思われますが、、、実は摘出した脂肪量はたいしてとっていないのです!!↓

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あれだけ飛び出ていた目の下は、、、一体なんだったのでしょうか?!(^^)

次回、術中の操作も詳しく説明しますね!

【注意点】腫れ、内出血、左右差、兎眼、神経損傷、傷跡、外眼筋麻痺など