さて、今回は足の巻き爪、陥入爪の超弾性ワイヤー治療を紹介致します。
超弾性ワイヤーとは、次の写真のように、曲げても元の形に戻る性質をもつ特殊なワイヤーです。すごいですね。
これを丸まった爪に入れることで爪が月単位で徐々に矯正されていきます。
一言で言えば「爪のつっかえ棒」ですね。
巻き爪と陥入爪は主に足の親ゆびで起こるのですが、巻き爪はただ爪がくるんと丸まった状態で、陥入爪は丸まっていようがなかろうが爪が肉に刺さった状態です。
しかし、巻き爪で爪の丸まりがひどくなっていくと爪が肉に刺さりやすくなるので、ある程度ひどい方はワイヤー挿入治療をおすすめしています。
この治療は痛みがなく、血も出ない割に、爪の矯正が月単位でほぼほぼ確実に得られるのがメリットです。挿入時に痛くないので麻酔も要りません。
しかし、自費治療であることと、爪が短い方にはすぐできないこと、爪が割れることがあること、生活習慣(足に負担のかかるヒールの高い靴、爪切り時の深爪、爪周囲の怪我をよくするなど)が変わらなければ治療後は元に戻りやすいことがデメリットです。
以前ブログで紹介しましたポドフィックスも大まかにはワイヤー矯正治療ですが、そちらは爪が伸びてない方でも可能です。矯正力は超弾性ワイヤーの方が強いです。
私は、ワイヤー1本9千円で入れており、爪の矯正具合を見ながらだいたい1~3ヶ月くらいワイヤーを挿入しています。
すぐ外れたら受診料1080円のみで再度ワイヤーを挿入できる保証をつけています。
ただ、陥入爪で傷ができ、ぶよぶよした赤い肉が爪のわきに出てきている方には、点滴用チューブを短く切って爪のわきに挿入するガター法という治療をおすすめしています。
爪の棘が赤い肉に当たっていると肉がどんどん大きくなるので、赤い肉のある方にはワイヤーよりガター法の方が即効性があります。
これで駄目であれば爪の一部が生えないように切る手術治療を紹介しています。
ちなみに、一番簡易的で安い治療は、足ゆびにローリングさせて貼るテーピング治療と、食い込んだ爪と肉の間に差し込む綿詰め治療です。
超弾性ワイヤー挿入は、下の写真左の工具で爪に穴を開け、右の写真上のペンチで爪にワイヤーを挿入し、右の写真下のニッパーでワイヤーを短く切ってちょうどよい長さに調節します。
爪の巻き込みが強い方には太さ0.5mmのワイヤーを入れ、巻き込みが強くない方には太さ0.4mmのワイヤーを挿入しています。
ワイヤーを入れた後に、爪の上から人体用のアロンアルファでワイヤーと爪の接点を固めます。
下にまず70代女性の症例写真をお示しします。
左の写真の爪の黒い点はワイヤー挿入予定部位にペンでマーキングしたところです。通常、爪の前方から4mmのところに穴を開けています。
右の写真はワイヤー挿入直後です。
一ヶ月たつと下記の写真のように爪の丸まりがワイヤーで矯正され平らに近づきます。爪が平らになれば爪が肉に当たらなくなり、当然痛みもなくなります。
この方はこれ以上矯正する必要はないでしょう。
2例目の30代女性の方はネイルをなさっているので、ワイヤーを挿入すると絵的に妙な気はします。
通常ネイルをなさっている方はネイルがもったいないので、すぐにワイヤーを行うことはあまりありません。
この方は1例目の方と比べますと若い方なので爪が厚くしっかりしており、また、ネイルの厚みもあるので爪の矯正スピードは遅くなりそうです。
このような方には強い太めのワイヤーを挿入しています。
ワイヤー挿入一ヶ月後の状態が下記の2枚です。爪の丸まりがやや平らになっています。
さらにもう一ヶ月くらい入れておくとちょうどよい爪の広がりになるでしょう。
ちなみに、爪がかなり伸びてきたら、ワイヤーごと爪切りで伸びた爪を切り落としてもらっています。
上記2名の方は、ぶよぶよした赤い肉芽もなく、爪もそこそこ伸びていたので、超弾性ワイヤー挿入のよい適応でした。
巻爪・陥入爪の超弾性ワイヤー挿入治療は、両足親ゆびに入れても15分くらいで終わる比較的取り組みやすい地味で基本的な治療です。
この治療が難しそうであれば、その方に合った他の治療を提案致します。
爪の矯正治療に興味をお持ちの方は、銀座の東京皮膚科形成外科(03-3545-8000)、品川のイーストワン皮膚科形成外科(03-5479-3388)までお気軽にご連絡ください。
質問だけでも結構です。
I often use a special elastic wire as ingrown nail corrector.
It is also very useful for easing the pain.