にきび治療は僕が力を入れている治療の一つで、僕のニキビ治療の目標は、痕(あと)を残さず快適な生活・人生を送っていただくことです。
具体的に申し上げますと、恋愛、結婚、就職において不利にならないような状態までニキビ痕を もっていきたいと思っております。
今回は、ニキビ痕治療の心強い味方であるフラクショナルCO2レーザー「コア」についてお話ししたいと思います。
銀座院(東京皮膚科形成外科)、品川院(イーストワン皮膚科形成外科)とも都心にあるので、ニキビで通院されている若年~中年の方が多いです。
ニキビそのものは薬物治療が中心ですが、ニキビ痕についてはよい薬がなかなかありません。
どうしても機械の治療が中心となります。
この機械「コア」は、現在銀座院に置いてあります。
コアは、フラクショナルCO2レーザーという特殊なレーザーの一つで、CO2レーザーがミクロの世界の剣山のように細かくたくさん出ます。
照射したあとには、剣山を刺したあとのように細かい穴がたくさん開いています。
このレーザーも、通常のCO₂レーザーと同様、水に吸収され高温になります。
ではなぜこのレーザーを照射するとニキビ痕が目立たなくなるのかという理由ですが、よく言われていることは、「たくさん穴を開けて今までの皮膚を新しい皮膚に入れ替えるから」という曖昧だけど何となく説得力のあるような理由がどこでも言われることが多いです。
ニキビ痕の多くがくぼんだものである、という前提で効く理由を考えてみます。
ニキビ痕が目立つ理由は、穴の角がシャープだからなのだと思いますので、第一点の理由としてレーザーの照射でその角が削れたり、軽く膨らんだりして丸みを帯びてしまうのではと思います。
穴が大きくても角が滑らかであれば、他人の目から認知しにくいです。実はホクロをCO2レーザーで削るときはそのことを意識しながらホクロを除去した穴の角を滑らかに削っています。
また、ニキビ痕が深ければ深いほど目立つと思いますので、第二点の理由として陥凹底を下に引っ張る皮膚線維を離断して陥凹底を浅くしているか、第三点として陥凹底の皮膚線維を増やし、底を盛り上げて影を減らしているのではと考えています。
瘢痕とは、表皮基底層が広範に破壊され、その間隙を線維芽細胞が分泌したコラーゲンによって埋められたものです。
フラクショナルレーザーによる瘢痕部に開けた穴の修復過程では、真皮組織が正常化するため、瘢痕は軟化すると言われています。そのため、ミクロの瘢痕拘縮は解除されていきます。
フラクショナルレーザーは、真皮内瘢痕を熱変性または蒸散させ、真皮組織を正常な姿に再構築する機械です。
ニキビ痕の陥凹があっても、機能的には人生問題ないのかもしれません。
しかし、他人の目で外から認知できないレベルまで落とし込めば、皮膚の中にニキビによる線維が多くできていても、さらに快適な人生を送れると思います。
コアのニキビ痕に対する一回の照射では、通常皮膚面積の20~40%を入れ替えます。通常ニキビ痕に対しては、広くて浅いビームと狭くて深いビームを同時にうつモードで照射しています。
ニキビ痕は一つ一つの陥凹が色々不規則な形状ですが、月に1回この照射を繰り返していけば、徐々に平均的な滑らかな皮膚に近づいていきます。
僕は、深いニキビ痕については、全体をうち終えた後スポットで強めに照射しています。
塗り麻酔を塗った後、照射時間は約30分くらいかけて行い、照射後に発赤、後日微細なカサブタを生じます。イベントが一週間以内にある方は避けていただきます。
また、炎症が起きますので、ときに色素沈着を生じます。これは放っておいてもなくなります。
ニキビ痕が治療の主たる対象ではありますが、皮膚の入れ替え的な治療なので、毛穴の開き、小じわ、シミ、怪我の痕、手術痕等にも効果を発揮します。
下記の写真(向かって左が治療前、右が治療一か月後)は、今年当院で行った患者さんですが、一回だけの照射でニキビ痕陥凹の角がぼやけただけでなく、シミの改善も認められています。
写真の光加減が違っていてすみません。
でも基本的にコアは色系の治療ではなく、主に皮膚表面の形を整える治療です。
近年ニキビ痕の治療に様々な方法が出てきました。
しかし、大前提として、やはりなるべくニキビ痕ができる前にただのニキビをしっかり薬で治療をなさってください。
ただのニキビを治すより、ニキビ痕を治すことは何倍も難しいのですから。
ニキビ痕で悩んでいる方、コアに興味のある方は、銀座院の東京皮膚科形成外科(03-3545-8000)までお気軽にお問合せください。
また、治療前後の写真をHPなどネット掲載や学術発表等の使用でご協力いただけます方は、2~4割引の料金で施術させていただきます。ご希望の方は私奥野かスタッフに遠慮なくお声がけくださいませ。