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【皮膚科専門医による施術】唇のホクロ・しみ治療

【皮膚科専門医による施術】唇のホクロ・しみ治療

· 奥野公成 · NEW, しみ, ホクロ · 【皮膚科専門医による施術】唇のホクロ・しみ治療 はコメントを受け付けていません。 · Kosei Okuno

今回は唇のホクロ、しみ治療について述べます。

唇のホクロ・しみに対してはレーザー治療がおすすめです。

シミ取りで用いるQスイッチレーザーを普通の皮膚のしみと同様唇に照射することで唇のホクロやしみがかなり薄くなります。

1回の照射で除去されることが多いです。

以下に詳しく説明致します。

唇の黒いできものは単純なホクロ、単純なしみという区別が難しく厳密な診断・区別が難しいです。

治療においては区別する必要性は低いと思います。

全身病の一部ではない限り治療の上で区別することは大事ではないため、以下の文では一緒くたにホクロと記載させていただきます。

治療は一緒でQスイッチレーザーを照射するだけです。いわゆる普通のしみ取りレーザーです。稀に取れにくいものにはCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)を考慮することもあります。

唇にホクロが多い方はアトピー性皮膚炎をお持ちだった方に多いです。

アトピーの方は皮膚のバリアー機能が弱いため、摩擦を受けやすい唇という部位で他の皮膚よりさらに色素を作りやすいと考えています。

なぜか唇では点状に色素が出るのですが。

唇の皮膚の一つ目の特徴は、普通の皮膚と違い角層が数層しかなく汗線・皮脂腺が無いことです。

皮脂の膜が無いので保湿・バリア機能が低く乾燥しやすく摩擦の影響を受けやすいです。

そして唇の皮膚の二つ目の特徴は、色素を作る細胞(メラニン細胞)が無いことです。そのため唇は赤いのです。粘膜下の血管内赤血球の赤みがよく見えるのです。

これも私の個人的な考えですが、唇は普通の皮膚より角層が薄い上に、ホクロ部位以外に余計なメラニン色素が無いので普通のシミ取りレーザー(Qスイッチレーザー)がホクロに効きやすいのではと考えています。

レーザー光を遮る余計なものが少ないということですね。雲の無い空です。

Qスイッチレーザーは傷痕が残りませんし、上記の理由で唇は黒い色が減りやすいでしょうから唇ホクロのQスイッチレーザー治療はとてもおすすめです。

顔の他の部位のホクロだとCO2レーザー治療を通常行いますが、これは通常傷跡が少し残ります。

唇はホクロ治療がやりやすい部位ということです。

 

30代女性の方の唇にQスイッチYAGレーザーというしみ取りレーザーを照射した写真をお見せします。

料金は3㎜直径以下のものであれば一粒で税込み2200円です。その他に軟膏代・受診料が各々1100円かかります。

副作用としてヒリヒリした痛みが照射当日のみ、照射部位の赤みが数日間、黒みが1週間ほど出てきます。

 

レーザー照射直前(上下の唇の赤い部位に薄いホクロがいくつかあります。パソコンで写真を見ている方は見えにくくてすみません。)

レーザー照射直後(照射部位が白くなり直後に赤黒くなります。唇以外に鼻下の薄いホクロにも照射しました。左手側の口角の下にある大きなホクロには照射していません。)

照射3日後(黒い色素が一時的に増しています。一部はかさぶたになっています。通常は唇ホクロには1週間軟膏外用処置のみです。他の部位には通常はテープも貼っています。)

照射1週間後(唇の黒い色素はかなり薄くなってきました。)

照射1ヶ月後

レーザー照射3か月後

レーザー照射6か月後(上口唇の左手側に一つ残ったホクロはありますが他のホクロは綺麗になくなりました。もう1回照射すればなくなる可能性が高いです。半年前と比べ美人度が上がりましたね。半年後に出ている効果ですから今後も効果が継続する可能性は極めて高いです。唇以外の鼻下の小さなホクロについては、左法令線と鼻下中央のホクロが消失しました。)

 

レーザー照射前と照射半年写真写真を並べてみます。唇の清潔感が上がりましたね!

 

レーザー照射1年1か月後の写真です。効果はしっかり維持されてますね。

補足ですが

QスイッチレーザーのQはqualityのqです。

Qスイッチとは、レーザーという特殊な光を極めて短い時間だけ強くでる特殊な質の光を出せるスイッチです。10億分の1秒の単位の光が出せます。

しかし、実際ほとんどのレーザー機器にそれを切り替える手動スイッチがついているわけではありません。手動スイッチのスイッチの意味ではないからです。

Qスイッチとは自動的に光の質を超短時間の強い光へ切り替えているという意味です。ドラゴンボールの悟空が界王拳を使うイメージです(知らない方すみません)。

一瞬だけ強く光が出ることで周囲への損害を最小限の皮膚ダメージに抑えることができます。黒い色だけに爆発を起こさせる精密誘導弾的なものと言えます。

通常、唇以外の顔の普通のホクロについてはCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)を用いた焼灼を行うことが多いです。

このレーザーは穴が開きますから一種の怪我が生じているわけで傷痕が一生残ります。

ではなぜそれを使うかと言うと唇以外の顔ホクロ細胞は深いところにあり、かつ黒い色をもっていない細胞が多いからです。

顔のホクロ細胞が通常いるところまで全てとると傷痕が残る層まで焼かざるを得ないのです。

ホクロ細胞は浅いところに現局するものいるのですが、唇以外の顔の普通の皮膚では深いところから浅いところに色を作りながら細胞が分化していくものが多いのです。maturationと言います。

黒い色を強く熱するだけのしみ取りレーザーではまだ黒い色を作っていないホクロ細胞を焼けないのです。

 

大概の患者さんは体・四肢より顔のホクロをとることを希望されますが、唇以外の顔のホクロ細胞は深くにあるものが多いです。ホクロには様々な種類があり顔の唇以外の部位にはミーシャー母斑という種類のホクロが出やすいです。

唇以外の顔ホクロ細胞は分化そして増殖するので厚みも出ます。唇のホクロは厚くなりにくく平坦なまま維持されることがほとんどです。唇のホクロ細胞がある部位は普通のしみの部位同様浅いからです。ホクロ細胞がある部位が元々深いものほど、そして後天的に増殖して深くに行くほど盛り上がります。不思議ですが元々ホクロ細胞が浅くにしかないものは盛り上がりにくいです。しみに近いホクロなのでしょうね。腕や手の甲のホクロも一生平坦なものが多いです。

 

ホクロの黒さは髪の色と何となく並行しており、老化すると色を作れなくなってただの肌色になっていきます。小鼻のわきに大きな肌色の盛り上がりをつけているご老人が近所にいるかと思いますが、それも昔は黒かったのです。

ちなみに、赤ちゃんの頃からホクロ細胞は皮膚のどこかしこに点在しています。黒い色を作るとそこにホクロ細胞がいたのだなと初めて分かります。

ホクロの正式名称は色素性母斑です。母斑とは生まれつきのアザを意味します。つまり生まれたときからホクロの細胞はすでに「そこに」存在しているのです。紫外線・加齢などの影響で黒い色素が増えると人間に発見されます。

余談ですが、ヨーロッパでは妊娠中の母の心理が子供の母斑になって現れるという迷信があるようです。だから母という言葉が使われたという説があります。母斑はヨーロッパ言語の日本語訳のようです。

誰にも見つからない扁平肌色の状態→平坦な黒色→盛り上がった黒色→肌色の盛り上がり というのが唇以外の顔のホクロの一生です。

 

話は唇に戻りますが、唇のホクロ・しみは何かで隠そうとして摩擦するとさらに色が濃くなる可能性が高いです。

レーザー治療にご興味お持ちの方は気楽にご相談ください。