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顔のたるみ・顎の形をヒアルロン酸で改善(アラガン社のMD-Codesセミナー)

顔のたるみ・顎の形をヒアルロン酸で改善(アラガン社のMD-Codesセミナー)

· 奥野公成 · しわ, たるみ, 学会・セミナー, 注入治療 · No Comments · Kosei Okuno

虎ノ門ヒルズで行われたアラガン社主催のヒアルロン酸セミナーに行ってきました。

今回は、新しく発売されたジュビダームビスタボリューマXCを、MD-Codesといううち方で行うとよいパフォーマンスを生み出せますよ、というセミナーでした。

普段、顔のしわ消しや輪郭の補正で使用しているヒアルロン酸注射ですが、実は色々な種類があります。硬さの選別が特に重要です。

このボリューマXCは、顔の輪郭の補正で使われる硬いヒアルロン酸なので、加齢で減った顔の膨らみ(主に頬・額・こめかみ・顎)を出すために使われます。

骨や脂肪の替わりみたいなものです。

最大の特長は、効果の程度にはよりますが、7割の方は2年間効果が出ていることです。

また、この手のヒアルロン酸では、国内初の厚生労働省の製造販売承認を受けていることも特長の一つです。

以下に詳しく説明致します。

ボリューマXCは局所麻酔薬キシロカイン(xylocaine)が入ったボリュームアップで使われる硬いヒアルロン酸です。

一般にヒアルロン酸は、硬いものを深く注入し骨の替わりとして顔の輪郭の補正に使います。例えば鼻を高くしたり顎を出したりできます。そして、柔らかいものを浅く注射して表面の小じわ消しに使います。しゃわしゃわした浅いシワですね。

もし硬いものを表面に使うとボコボコした凹凸ができてしまいます。一方、柔らかいものを深いところに入れてもあっという間につぶれる上、表面の皺を消すこともないので無駄に終わります。

ですからヒアルロン酸注入はまず第一に硬さで選別します。硬さが最も大事です。

その次に重要なのはヒアルロン酸自体の「もち」です。

ボリューマXCは、高分子ヒアルロン酸に低分子ヒアルロン酸を混ぜたことで、それをつなぐ架橋剤が他のヒアルロン酸より密な網目構造を作れるようになったようです(VYCROSS技術)。

それが、力が加わっても平らになりくくくさせ、つぶれないで形が保たれる性質を生み出します。盛り上がったままの形が持続しやすいということです。

主な用途はたるんで減ったこめかみ・頬の補充、そして、骨が減った顎の補正です。

人間は、年を取ると特定のあるものが減る場所と増える場所が決まっています。

ボリューマXCは、深めにうって骨や脂肪の替わりとするような印象です。

 

本日のセミナーは、昨年に引き続きディマイオ先生(Dr. Mauricio de Maio)によるヒアルロン酸注入のレクチャーがメインでした。

まず実際の患者2人(30代、50代)にどのようになりたいか希望を聞き、二人の顔が加齢でどのように変化したかや原因をディマイオ先生が解説・評価します。

そして、その原因からディマイオ先生の考える最適な診断・治療方針を提案し、患者さんの希望とすり寄せていきます。

その後、オーディエンスのドクターたちに、どの部位に何のヒアルロン酸をどの深さでどのテクニックでうつかを、数分で考えさせます。

このとき用いられたのがMD-Codesというヒアルロン酸注入の手引きでした。

ディマイオ先生がホワイトボードや顔の描かれた髪に答えを書いて説明します。

ディマイオ先生が必要なヒアルロン酸注入量をはっきりと口に出して伝えているのが印象的でした。

そして、日本のエキスパートドクターがその患者にディマイオ先生の答えに沿ったヒアルロン酸注入をしていきます。

最後にオーディエンスとの質疑応答になりました。

ディマイオ先生はヒゲを生やし荘厳な見た目で、とてもスマートなプレゼンテーションをされる方なのですが、もしも先生が自分より年下だったらどうしようと、器の小さい私はときどき考えたりします。

 

MD-Codesについてですが、これは顔の注入部位にアルファベットと数字を付与したものです。

例えば眉毛尾部(the eyebrow -tail reshape)でしたらE1です。

顔に20個くらいの注入部位を指定し、同時にその部位個別に注入ヒアルロン酸、量、深さ、注入方法を推奨する手引きになります。

私個人的には、これは「減った部分は足すか引き上げる!」という発想のような気がします。

今までの同様の概念はあったと思いますが、はっきりと整備されたのでしょう。

ですから、医者の経験による「なんちゃって」的な打ち方を卒業しましょうという概念なのです。

ヒアルロン酸注入の「マニュアル」と言ってもよいのかもしれません。

ドラゴン桜の桜木先生のようなセリフですが、何も知らない人こそ「型」が必要なのです。

ちなみに、このMD-Codesを組み合わせ方法が、顔全体の印象改善を目的とする、「ビスタシェイプ」というヒアルロン酸・ボトックスの注入治療です。

こういうマニュアルが整備されることで、自己流の打ち方が減り、患者さんの副作用やヒアルロン酸への不安、ひいては美容外科というミステリアスな領域そのものへの不安が減っていくのでしょう。

このコードは顔の老化現象がどのように進むのかを踏まえた上で作られたコードのようです。生理的に理にかなった顔の巻き戻しをするわけですね。

一方では料理人やアスリート、将棋の棋士のように個性がなくなっていくのはなんだか個人的には少しだけ寂しい気もしますが。。。私も昭和の人間なのかもしれません。早く平成に慣れるよう頑張ります。

 

今回のセミナーは昨日と二日連続だったようですが、私は用事があり本日一日しか出席できませんでした。

ただ、帰りがけによくお会いするアラガン社の社員の方に効きましたところ、本日の方が応用編であったようです。

昨年はなかったホワイトボードや紙への記載で説明があり、ディマイオ先生が指示するカメラワークや、オーディエンスをリラックスさせる会話も巧みで、昨年よりとても分かりやすいプレゼンテーションという印象でした。

もちろん、僕自身この1年でアラガン社のヒアルロン酸を使用したことがあり、再び座学を受けたので、レクチャーの深い意味があらためて今日分かったということも言えると思います。

MD-Codes自体も1年で進化して増えていましたね。

 

個人的には、このMD-Codesをヒアルロン酸の基本と思えるようになり、さらに自分なりのプラスα付加価値を追加できたらよいなと思っています。

患者さんにとって大事なのは、料金を除けばやはり注入前後の自分の変化だけですから。

打ち終わって鏡を患者さんに見せたときの表情が、その日のヒアルロン酸注入の採点結果なのだと思っています。

また、患者さんの予算は限られており、現実的には、MD-Codesのどこを優先的にうっていくのかを考えていかないといけないと感じています。

このMD-Codesの考え方の本質とはずれるかもしれませんが。

僕の直感では、Ck1、C2、NL1~3、(Ck3)あたりが、コストパフォーマンスのよい優先的なkeyCodesになるのではと考えています。

 

最後に、ヒアルロン酸注入で顔のたるみを少しずつでも限られた期間でも改善できるというのは、手術でたるみを改善するのが怖い方には、とてもよい選択肢なのだと思います。

もの足らなければ簡単に足せますし。

 

今日はよい刺激を受けました。

僕も進化できるよう、また明日から地道に頑張ります。