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2017日本美容皮膚科学会で学んだこと(in大阪)

2017日本美容皮膚科学会で学んだこと(in大阪)

· 奥野公成 · NEW, 学会・セミナー · No Comments · Kosei Okuno

2017年7月29日(土)、30日(日)に大阪で行われた日本美容皮膚科学会に参加してきました。久しぶりの大阪でした。

美容皮膚科の新しい知見や大事な知識の復習を行う上で、毎年僕がとても楽しみにし、重要視している学会です。

以下に今回学んだことを述べたいと思います。

毎回毎回学会後のブログは同業者以外の方はよく分からない内容だと思いますがごめんなさい。

1.顔の皮膚を支える靱帯には2種類あり、偽靱帯と真性靱帯がある。真性靱帯は骨から皮膚までをつなぐ靱帯である。その根元尾側にヒアルロン酸を注入することにより靱帯を支え、顔の皮膚の土台を強化することができ、たるみ軽減に役立つ。

2.ヒアルロン酸で血流障害を起こしたときに、それを溶かすヒアルロニダーゼを注射する場合は、広範囲にたくさんうつ。ヒアルロニダーゼを血管に直接入れられなくても、その周囲に注射されたヒアルロニダーゼは血管にしみこむという論文がある。

3.幹細胞には、iPS細胞、ES細胞のような多能性幹細胞と、骨髄幹細胞、脂肪幹細胞のような組織幹細胞の2種類がある。

4.脂肪幹細胞培養上清(脂肪幹細胞が出したもの)は、以下の5つの作用を発揮する。

線維芽細胞を増やして傷を早く治す、線維芽細胞の抗酸化作用を高める、UVBによる線維芽細胞の増殖能低下を抑制する(要は抗UV効果)、レーザー照射との併用で紅斑・色素沈着・乾燥を軽減する(要はダウンタイムの軽減)、角化細胞の増殖を促す。

5.口の周りだけや、頬部外側だけに出る肝斑もある。

6.レーザー治療はパルス幅が短くなるほど光熱作用より光音響効果がメインになっていく。Qスイッチレーザー(ナノレーザー)は光熱作用がメインで、ピコレーザーは光音響作用がメインである。

7.しみのレーザー治療では、局所では532nm、広範囲では600nm台、700nm台の波長を用いるとよい。広範囲ではその波長を用いることにより照射後の反応がマイルドになるので。

8.ピコレーザーは照射直後に白色化現象(IWP)ができるかどうかぎりぎりの出力がよい。

9.高圧型インジェクター(イノジェクター)は、にきび瘢痕の皮膚真皮層に生理食塩水を拡散させることで皮膚内部の組織を破壊し、新しくリモデリングを促して瘢痕に対する効果を発揮する。

10.LEDは電流と電子がぶつかり光が出る。赤色LEDはHGF、レプチン、VEGFなどを増やし、髪の成長期誘導・延長をもたらす。

 

学会が行われたグランフロント大阪です。JR大阪駅からすぐで、アクセスがとてもよかったです。

 

11.CO2レーザーはディフォーカスでの照射時に炭化しやすい。

12.指の粘液嚢腫はCO2レーザーで焼いて、鋭匙でかき出す。唇の粘液嚢腫は少し広く焼いて縫わない。

13.口周りのホクロが肥厚性瘢痕になりやすいのは、口周りがよく動くから。

14.首・身体のアクロコルドンはCO2レーザーで焼かないでハサミで切るのみでもよい。焼くと炎症後色素沈着が出やすいので。

15.顔のADMで孤立性のものはCO2レーザーで焼く手もある。

16.IPL照射において、560nmなど短波長をかなりの長期間当て続けると、バリア破壊のため逆に光老化が進む可能性がある。逆に長波長はバリア回復に役立つ。短波長で幾度かうって、長波長に変更する方法がある。

17.浅いしみは表面を冷やしすぎないでうつと効果があがる。

18.顔の皮膚のダーモスコピー像では、茶色の色素沈着ネットワークの中に白丸が見える。この茶色は、偽ネットワークと呼ばれ、表皮側から真皮に刺さった毛包の部分が白く見えている。顔では偽ネットワークの鑑別が悪性黒色腫かホクロかの大きな鑑別ポイントになる。悪性黒色腫の色素は毛包から広がっていくので。また、隆起した母斑細胞母斑の毛穴そのものには色素がなく、基底細胞癌との鑑別点になる。基底細胞癌なら2mmマージンで深くとる。

ダーモスコピーでは、表皮と真皮の間をはがした電顕像を表皮側からと真皮側からでそれぞれイメージする。

19.ダーモスコピーでは、表皮にメラニンがあると濃い茶に見え、表皮にメラニンがなく真皮のみにあると灰色に見える。顔のホクロは大人になると、表皮のメラニンがなくなり、真皮の色だけになるので、blue grayに見える。

20.顔のホクロのほとんどはミーシャー型で、ほとんどは真皮内母斑である。

 

グランフロント大阪の1階です。夏休みのためか子供達のイベントが行われていて賑やかでした。

 

21.脂漏性角化症が成熟するにつれ、ダーモスコピー像は、指紋様構造→面皰様開孔→多発性稗粒腫様嚢腫 という順になっていく。

22.扁平苔癬様角化症(LPLK)は、一見するとしみが勝手に治っていく。

23.ホクロの色がない部分を取り残すと、その部分は光が当たると色を作り始める。

24.年をとると、立位と仰臥位で顔の幅の比は10%くらい違う人がいる。当然立位より仰臥位の方が顔の幅は大きい。

25.痩身治療において、高周波、レーザー、冷却は脂肪細胞をアポトーシスさせ、HIFU(高密度焦点式超音波)は脂肪細胞を破壊する。

26.顔のふくらみ・たるみ治療においては、SMASを縮めることではそれらを治せないのではという意見がある。日本人はSMASと皮膚の距離が長い。白人はSMASと皮膚がほぼくっついているような人もいる。真皮をいじるのはたるみ治療に意味がある。SMASは基本的に咬筋を包む膜。

27.レーザー治療において、100ns以下で衝撃波が発生する。 それ以下のナノ秒レーザーでは、熱の作用と衝撃波の作用を両方もつ。

28.Dr.CYJヘアフィラーは髪の成長因子を増やすペプチドを含み、それをゆっくり放出していく。それにより毛髪幹細胞が毛包に変わっていく。毛のない部分ではなく、毛がしっかりあるところにうつ。エレクトロポレーションで導入していく方法でも効果が見込まれる。自動注入器で注射すると、一カ所一カ所の量を一定にうてる。

29.眼窩下神経ブロックは顔の外側には効かない。

30.コラーゲンはヒアルロン酸よりも注入後移動しにくい。

31.ボツリヌス毒素の注射はA型が効かなくなったらB型を使う。

32.毛球部毛根鞘細胞(DSCC)は高い毛包誘導能を有する。3ヶ月かけて細胞を増やし頭部に注入すると、有効なサイトカインが出る。しかし、当然頭部の毛の本数自体は増えていない。

33.酒皶の診断において、面皰があるときは、丘疹があっても痤瘡を考える。毛包を取り囲む六角形の血管拡張(polygonal vessel)が酒皶の拡大像の最大の特徴である。

34.酒皶はアレルギー性皮膚炎が合併症状として存在していることが多く、これを除外診断にする必要はないという意見がある。酒皶は慢性炎症疾患であり、合併症をほぼほぼもつ。

35.酒皶の丘疹膿疱型にはメトロニダゾール外用が効くが、ロゼックスゲルは保険適用になっていない。アゼライン酸(AZA clear等)、プリモニディン(血管収縮させる外用剤)も同様。

36.育毛効果を示す指標で大事なのは、毛髪密度と平均毛直径である。

 

学会は行くと本当に学ぶことが多いですね。

お忙しい中ご教授いただいた先生方にはとても感謝しております。

世の中にはすごいプロフェッショナルな先生がいるのだなあと改めて感じました。

その先生にこだわりがあり、熱心に取り組んでいる治療ほど、生きた自分の言葉でポイントを分かりやすく伝えられるのではと感じています。

単なる勉強オタクにならないよう、この勉強を普段の業務に活かしていきたいと思います。

明日からまたよろしくお願いします。

 

余談ですが、下記は品川院のあるイーストワンタワーの1階に飾ってあります。

日本人に、日本の夏を感じさせてくれますね。